2007年3月10日 スペイン/マドリード2日目
天気は晴れ。
この日撮影したのは、203枚。
使ったお金は、€10.14(¥154.21(七十七銀行参照))。
朝一番、つまり開館と同時にプラド美術館に。ファンデル・ウェイデンの「十字架」は素晴らしかった。浮き出るような描写でリアリティがある。唇、涙、洋服まで緻密に描かれていて、ファンになってしまった。
ホテルに帰る途中で、ジャン・ヌーベルがコンペで勝ったレイナ・ソフィア・アートセンターを発見。道路側を閉じ、中庭が開けている。
今回のユースホテルはGOOD!ベッド1つにライトとコンセントがついている。朝食はたくさん食べれるし。オーストラリアのバッパーを思い出した。でも、シャワーのお湯が出ないのが難点。
(※最初は旅をしていた時の日記の感想をそのまま書いています。)
マドリードの街並み
街の中に噴水があり、水の音がする光景は、気持ちが豊かになる。その噴水が造形的だとなおさらだ。
バルセロナでも感じたことだけど、ヨーロッパの公共空間の作り方がしっかりしている。
冬なのに芝がちゃんと管理されているし、水も流れている。
水を流すようにデザインされているのだから水が流れていて当然だと思うけど、日本だと電気代や水道代がもったいないのか、水の流れを止めていたり、水そのものが流れていない時がある。そういった公共空間を見ると、寂しい気持ちになる。
道路をまたぐ集合住宅。
海外でもほとんど見ることがない、道路の上の集合住宅。日本だと、学校や工場、病院などで渡り廊下が道路上空で繋いでいることがあるが、集合住宅は見たことがない。
プラド美術館(MUSEO DEL PRADO)
設計は Juan de Villanueva(フアン・デ・ビジャヌエバ)。
建設年は、1780年。
プラド美術館は上野公園にありそうな雰囲気だが、何かが違うなと思っていた。それは、芝生なのか、木々なのか。間口が長いからなのか。
シャルル3世紀の命で自然科学博物館として建設された新古典主義様式の建築。独立戦争の後、フェルディナンド7世が美術コレクションを収蔵するための王立美術館に改造された。入り口を中心に左右対称の建物は、中央部と両端部を強調するパビリオン形式となっている。
内部に入るとイオニア式の柱が並ぶ広がった空間があり、上から光が注いでました。上を見ると、
イタリアのローマにあるパンテオンのようなトップライトがありました。
Thyssen-Bornemisza Museum(ティッセン・ボルネミック美術館)
設計は Rafael Moneo(ラファエル・モネオ)
建設年は、1992年。
ネオクラシック様式の宮殿を改修した美術館。
内部に入ると広い空間があり、天井からは間接的に入ってくる光が優しく内部を照らしている。
古い建築に増築された白い部分があり、ここは誰の設計かわからないのですが、だいぶ唐突感がありました。
緑化された部分が目を引いて近くに寄ると内部に石庭みたいになっているところがあったけど、この文脈も意図がわからず、どういった意図で設計したか知りたいですね。
M-30 Housing Estate(M-30住宅団地)
設計は Francisco Javier Saenz de Oiza(フランシスコ・ハビエル・サエンス・デ・オイサ)
建設年は、不明。
団地は、日本の公団のように平行に並んでいるわけではなく、数字の6を反対にしたような配置で、道路を進んでいくと自然と団地に囲まれた中庭に入る。
外壁の模様が独特で模様に目がいってしまうけど、壁に彫り込まれたようなベランダが独特。
全てのベランダではないけど、2層吹き抜けのベランダもあり、内部が気になる。
高さも全て同じというわけではなく、段々と低くなり、また段々と高くなる。
ここの団地は、配置、高さ、開口などが日本の団地とは違い、デザインが面白い。ただ、日本の公団の均一な配置は一見つまらないように見えるけど、日照を上手に取り入れることができる配置になっているため、南向き信仰の日本らしい配置。
Atocha Station(アトチャ駅)
設計は Rafael Moneo(ラファエル・モネオ)
建設年は、1992年。
アトチャ駅は、マドリードの南西部に位置する遠距離列車の発着ターミナル。
旧駅舎の改修と新駅舎の設計コンペで、ラファエル・モネオが勝利し、設計。
スペインで好きな建築家、ラファエル・モネオ。
好きな理由はおそらく幾何学的なデザインが多いから惹かれるのかもしれない。
この駅は、5ヶ月間旅した中で、もっとも印象に残っている駅。
ここはアトチャ駅の円筒形のエントランス・ホール。
真四角のレンガ製の柱が円形に並び、その柱がヴォールトの天井を支えており、その天井の中央部に丸いトップライトがあり、ここもローマのパンテオンを想起させる。
奥のガラス張りの箱が、新設された遠距離列車の発着ターミナル。
手前が、ヴォールトの天井をした駐車場。
この天井を見たときに、うーん、屋根の意味はないだろうなと思ってしまった。
隙間だらけで、雨や日差しから車を守ることはできないだろうなと。でも、そう思ってしまう時点でダメですね。このヴォールトの天井は、機能的な面よりもヴォールトのエレメントが反復するデザインが重要な気がする。これが、日差しも入らない真っ平らな天井の駐車場だと、面白味がなく、駅は旅の発着点で重要な場所なので、デザイン性はとっても大切。
ここの特異な点は、高さは違えど駅のホームと駐車場が近く、その境にガラスもない。そのため、駐車場からホームに物を投げようと思えばできてしまうため、日本だとこの境にガラスが張られてしまうと思う。ガラスがないため、駅が近い。
新駅舎は正方形の屋根を柱が支え、その正方形の間にトップライトを設けている。壁もガラスのため、とっても明るい駅舎だ。気持ちがいい。
この列柱の風景は、バルセロナで訪れたガウディ設計のParc Guell(グエル公園)の広場を支える列柱を思い出す。
「Grand Tour 2007 回顧録 スペイン・バルセロナ Part-5」
こちらが旧駅舎。
その内部を見てびっくり。
旧駅舎の中には、植物園があり、その近くにはカフェがあるので、電車を待ちながら植物の足元でゆっくりすることができる。
両脇のレンガ造りの壁、そこにかかる鉄骨の屋根、その下に植物。
この素材感がある建築と植物がある大空間の駅は、他では見ることができないと思います。
Museo Nacional Centro de Arte Reina Sofia(国立ソフィア王妃芸術センター)
設計は Jean Nouvel(ジャン・ヌーヴェル)
建設年は、1992年。
アトチャ駅を最後にして、この日の建築散策を終えようと、宿に帰ろうとしたら、どこかで見覚えがある大きな庇が目に飛び込んできた。
それは、フランス人建築家のJean Nouvel(ジャン・ヌーヴェル)設計のもの。
コンペ時の案を本で読んだことがあるのと、a+uという建築雑誌で見覚えがあったため、偶然の発見に嬉しかった。
というのも、自分が持ち歩いている本は、2005年に初版第7刷発行のため、最新の建築は掲載されていない。
そのため、思いがけないところで最新の建築に出会えると一気にテンションが上がる。
Jean Nouvel(ジャン・ヌーヴェル)と言えば庇が特徴なイメージがあり、ここでも大きな庇を建物に上にかけ、建物と建物の間を屋根がかかった広場としている。単に屋根をかけるだけではなく、屋根に穴を開け、日差しが入るようにするとともに、その間を反射する素材で仕上げているため、日差しが乱反射して屋根の下に降り注ぐため、とっても明るい空間になっていた。
Reina Sofia Art Center(レイナ・ソフィア・アート・センター)
設計は Vazques & Iniguez + Ian Richie(ヴァスケス&イニグエス+イアン・リッチー)
建設年は、1990年。
前述のMuseo Nacional Centro de Arte Reina Sofia(国立ソフィア王妃芸術センター)に併設されているのが、Reina Sofia Art Center(レイナ・ソフィア・アート・センター)。こららの方が先に、病院を改修して美術館にコンバージョンされている。
元々の病院の建築に、2つのガラス・エレベーター・シャフトが増築されている。硬い素材の建築に、ガラス張りの箱を増築する方法は、上野公園にある国立国会図書館国際子ども図書館でも同じような手法で改修している。
Reina Sofia Art Center(レイナ・ソフィア・アート・センター)には、パプロ・ピカソの「ゲルニカ」が収容されており、ゲルニカは翌日観ることにした。
マドリードの大道芸人
この人のところだけ、強い風が吹いている。
髪の毛が逆立ち、強風でネクタイとコートが煽られている。
と思ったら、休憩。
ヨーロッパでよく見かける大道芸人だ。
この姿勢をキープするのは結構大変ですよ。
この人もよく覚えているな。
Grand Tourに出た理由
なぜ、ヨーロッパの建築を見て回る旅、Grand Tourに出たか。
その理由は、こちらのブログに書いたので読んでみてください。
建築の大学を出ていない者が「建築家」に憧れヨーロッパを旅した日々
これまでのGrand Tour(建築行脚)2007
これまでのGrand Tourの記事はこちらから
「Grand Tour 2007 回顧録」
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