林業の上流を見にいく
土佐材産地見学ツアーの1日目は、林業の下流である木材市場や木材置き場、プレカット工場などを見学しましたが、2日目は林業の上流とも言える山と伐採現場、製材工場を見学してきました。
伐採現場は高岡郡越知町。
高岡郡越知町は、高知市の中心地から車で1時間半ほどで到着する場所ですが、1時間半車を走らせただけで深い山に来れます。
高知は平地が狭く、山と海が近い場所。
その山には伐採できる木が多くあります。
しかし、日本の林業はドイツやカナダとは違い、木が生えている場所が急傾斜なため、伐採をするにも林道を作ったりしないといけません。
こういった環境のことを実際に体験してもらえると、距離感、高低差などを肌身で感じてもらえると思います。
製材工場の見学
林業の上流を見学したあとは、山で伐採された木が運ばれる製材工場を2箇所見学させていただきました。
まず、吾川群仁淀川町にある製材工場の「株式会社ヴェルデ」さんを見学させていただきました。
高知県の森林率は約84%で日本一で、なかでも仁淀川町は約95%という県内有数の林産地です。
ヴェルデさんは4m以下のサイズの製材をされていて、4m以下の木材の活用は木製パレットなどの梱包用板材を製造・販売しています。
株式会社ヴェルデは、いわゆるC材、D材と称される低質材を主に、木製パレットなどの梱包用板材を製造・販売しています。
株式会社ヴェルデ 基本方針より引用
国内の建築用材を中心とした木材需要が低迷しA・B材といわれる良材の価が下がる一方、木質バイオマスエネルギーの利用増加等によるパルプ・チップ用材の需要が高まる中、木質資源を有効に活用するカスケード利用のさらなる進展が重要視されています。
低質材の中でも木製品として利用できる部分をできる限り利用することによって木質資源の価値を向上させ、山の収入を増やすことで林業の振興に貢献します。
また、仁淀川流域を中心とした中山間地域における雇用創出に寄与するとともに、森林の買い入れによって自伐林家等小規模林業事業者の施業地確保、林業の担い手育成、森林環境整備にも力を入れていきます。
次に見学させてもらった製材工場は、前述の「株式会社ヴェルデ」の向かいにある「池川林材株式会社」さんを見学させていただきました。
こちらは、4mや5mなどの建築で使われる材を中心に製材しています。
池川林材さんは、先代から受け継いだ森林の伐採しながら、次世代に引き継ぐために植林、間伐と計画的に実施しています。
どこから製材していけば効率よく取れるか、木の形を見定めながら製材している職人さんの後ろ姿が印象的でした。
仁淀ブルー
林業の上流である、山、伐採現場、製材所を見学して今回の土佐材産地見学ツアーは終了です。
その製材所の近くでお昼を食べたんですけど、そのすぐ近くを流れる土居川がとっても綺麗でした!
土井川は仁淀川の支流で、仁淀川のように透き通った川で、この川を見ているだけで気持ちが安らぐ。
水深はそこまで浅くないと思うんですけど、橋の上から覗いた影が川底に写っているのが見えるほど綺麗!
案内してくれている田中さんが、見学させてもらった製材所の帰りの途中で仁淀川の沈下橋に寄ってくれました。
四万十川の沈下橋は有名だと思いますが、仁淀川にも沈下橋があるんですね。
仁淀川は、西日本最高峰石鎚山に流れを発し、太平洋に流れます。その仁淀川は日本一青く、美しい川で、写真家の高橋宣之氏によって「仁淀ブルー」と名付けられ、「奇跡の清流」とも呼ばれています。
「安居渓谷」に行けば仁淀ブルーを体感することができるそうで、いつかは仁淀ブルーを実際に見てみたい。
帰りの飛行機が19時で、午後は時間があったので吾群いの町にある「いの町紙の博物館」で紙すき体験をさせてもらいました。
土佐には1000年以上もの歴史があり、伝統工芸品の手漉き和紙の土佐和紙があります。
土佐和紙は以前の事務所で採用したことがありますが、紙質がしっかりしていてとっても肌触りがいい和紙です。
高知の最後は、大河ドラマの「坂本龍馬」によく出てきた、高知市浦戸にある「桂浜」を観光して終わりです。
今回の土佐材産地見学ツアーは、とっても内容の濃いツアーになったと思います。
建築で使われる木の環境が見え、その環境が守られることで綺麗な清流が保たれている。
美しい風景を維持していくには、山の環境が大切なんだなと、改めて感じたツアーでした。
高知の土佐材産地見学ツアーに関する記事
なぜ、わざわざ高知に来てまで、土佐材を見学したのか。
土佐材産地見学ツアーについての記事が下記リンクから追っていけるので、興味がある方は是非!