これからの素材の1つとして
今回の土佐材産地見学ツアーで見学したかった場所の1つが田中石灰工業株式会社さんの工場です。
理由は、自然素材である漆喰にずっと興味があり、以前から土佐漆喰を扱う田中石灰工業さんのことは知っていて、いつか漆喰を使いたいなと思っていました。
なぜ漆喰を使いたいと思っていたか。
それは、自然素材がもつ人にとっていい効力が多くあるからです。
漆喰で使ったことがるのはイケダコーポレーションのカルクウォールで、事務所の並びに作ったOne Tableの壁に使いました。
カルクウォールについては、こちらのBlogをどうぞ。
ワークショップの準備〜One Table Project Vol.18〜
田中石灰工業株式会社の工場を見学
漆喰というと仕上材などでは高いと思っていた。
実際にはもちろん高いのだが、材料というより、下塗り+中塗り+上塗りなど工程が多くなり職人さんの工賃が高いのだと思う。
そのため、弊社では貝殻を砕いて作った塗料を仕上げ材としてよく採用している。
また、前述したリボスのカルクウォールも使っていきたいと思い、One Tableで採用してみた。
そのカルクウォールと同じように、水などを足さずに届いた材料を練るだけで使える左官材としてタナクリームを以前紹介してもらったので、漆喰という素材に興味があったし、どのように作られているのか一度見てみたかったので、この土佐材産地見学ツアーで、工場を見学させてもらいました。
田中石灰工業株式会社は、創業明治27年(1894年)と120年以上も続く老舗の企業。
石灰を扱う「田中商店」として創業し、高知市五台山東孕に石灰焼成竃を建造し、明治43年(1910年)に現在の南国市稲生に石灰焼成竃を建造されました。
伝統的な土佐塩焼工法を継承し、漆喰原料、食品添加物、試薬用高純度石灰など品質重視の物作りに努めてこられた会社です。
石灰とは
石灰岩は、主に地質時代に生息していた石灰質の殻をもった海棲生物の遺骸などが堆積して地層化したもので、鉱物資源として現在の日本での自給率は100%であり、元々の純度の高さや優れた製錬技術により世界的にも高い品質を誇っているとのことです。
最初に石灰の説明をしてもらい、工場の見学です。
漆喰などの製品になるには、石灰石を採掘→石灰岩を高温で焼成→選別などの工程を経て石灰の色々な製品になっていきます。
最初に見学させてもらったのは、石灰岩を焼成する工程。
土佐塩焼灰焼成用土中竈に石灰岩(CaCO3)とコークス、塩を入れて700℃以上(工場では、900℃までになるとのこと)になるように加熱し、この加熱で二酸化炭素(CO2)を揮発させ焼成し、生石灰(CaO)を作ります。
土佐塩焼工法とは、特有の徳利型土中竈を用いて、原料と燃料を交互に投入し、塩類を添加して焼成する工法で、鉄分、シリカ、アルミナという不純物を除去し、消石灰の平板状結晶を発達させる効果があります。
高知を訪れたのが6月末の夏前だったんですが、コークスを竈に投入すると熱気が上がってきてとっても暑かったです。
この作業を猛暑の夏にしていると思うと。
次に、竈の下の部分を見学。
上の写真の上部に見える小さい窓がある場所が、石灰岩を投入していた場所です。
ここが石灰岩を投入した場所の下で、焼成された生石灰を取り出し、選別する作業場です。
壁も天井も真っ白です。
奥の方に作業している人がいて、焼成された消石灰を取り出しています。
消石灰を砕いて見せてもらうと、中は真っ白な消石灰で、これが土佐漆喰やタナクリームになっていくんですね。
こういった丁寧に作られた作業工程を見学させてもらい、漆喰の効能も含めて考えると、決して高くない素材だなと思いました。
これは、カンディハウスの工場を見学した時も感じたことです。
「ASAHIKAWA DESIGN WEEK 2018 2日目〜家具製作の工房を訪ねる〜」
「石灰」で思い浮かぶのは、体育などで使うラインカーに入れた白い粉、ラインパウダーだと思います。
昔のラインパウダーは消石灰(水酸化カルシウム)で、消石灰は強アルカリ性で目に入ると角膜や結膜が損傷、視力に影響する障害が残ったり、皮膚に触れるとかぶれたりしました。しかし今のラインパウダーは、安全性の高い炭酸カルシウム等の石灰が用いられているようです。
知りませんでした。
所属しているサッカーチームの公式戦前にグランド整備があり、ラインカーを使うときに昔よりサラサラしてるなと感じていたんですけど、変わってたんですね!
タナクリームの機能性
タナクリームは、壁塗り用の生石灰クリームです。
石灰岩を焼いてできた生石灰を水と反応させることでできるクリーム状のものが生石灰クリームです。生石灰クリームは漆喰と同様、空気中の炭酸ガスと反応して炭酸カルシウムとなり硬化します。
伝統的な漆喰の製法とは多少異なる部分もありますが、タナクリームは「漆喰」であると言って問題ありません。
そのタナクリームには、「調湿機能」「VOC吸着除去機能」「消臭機能」「抗菌機能」「防カビ機能」があります。
調湿機能
空気中の湿度を調整し、快適な室内環境を造ります。また、結露の発生を抑制し、建物を長持ちさせます。
VOC吸着除去機能
シックハウスの原因となる揮発性有機化合物(VOC)を吸着、除去します。
消臭機能
タバコやペット、生ごみなどの生活臭を吸着し分解します。
抗菌機能
主成分の石灰による抗菌作用で菌類の増殖を抑制し減少させます。
防カビ機能
主成分の石灰によりカビの繁殖を抑制します。
石灰で注目している企業
石灰石で注目している素材がある。
それは、木材や水を使わずに、石灰石から作られる紙、LIMEX(ライメックス)ペーパーです。
石灰石で作られる紙と聞くとちょっと重そうな気がするかもしれませんが、重量は紙とほとんど同じ軽さらしく、さらに紙のように薄いのに耐久性、耐水性があります。
この、LIMEX(ライメックス)ペーパーを創りだしたのが、TBMという会社で、紙だけでなくプラスチックの代替品となるプロダクトも開発しています。
このLIMEXで障子みたいなものを作れないのだろうか。
外壁に使うことができれば、面白いと思う。
高知で有名なひろめ市場
以前、高知に来たときには寄っただけのひろめ市場。
今回はそのひろめ市場で夕飯を食べて来ました。
ひろめ市場は、大きな屋台村のような施設で、席を囲むように和洋中様々な飲食店が約40店舗が並び、自分たちで好きなお店からお好みの料理を買って席で食べます。
イメージしやすいのは、フードコートでしょうか。
飲食店以外にも、お土産物屋さんや洋服屋さんなどの物販店約20店舗が混在しています。
徳島でもひろめ市場のような施設ができたそうですが、そちらはすぐ終わってしまったそうです。このひろめ市場の特有の雰囲気は高知だから成り立つのでしょう。
高知には「土佐のおきゃく」というイベントがあり、商店街にこたつが並び、そこで見ず知らずの人たちとお酒を酌み交わすイベントです。
おきゃくとは土佐弁で宴会のことで、さすが酒国高知です。
高知の土佐材産地見学ツアーに来るまで
なぜ、わざわざ高知に来てまで、土佐材を見学したのか。
その理由は、下記のBlogで。