熱を可視化する(夏季シリーズ)
前回のブログで築年数が経っている断熱について書きましたが、そう言われても体感でしかわからないという方も多いと思います。
「公団(UR団地)でリノベーションプロジェクトが始まります〜松戸の家7(UR団地リノベーションの家1) Project Vol.01〜」
壁や窓の温度をサーモグラフィーの様に撮れる機械があります。
弊社で使っているものは、「FLIR Systems(フリアーシステムズ)」のスマートフォン用の赤外線カメラです。スマートフォンにデバイスを取り付けアプリを起動すると、画面に映るモノにグラデーションで熱をわかりやすく表してくれます。
冬の断熱性能の可視化も行ったので、こちらも参考にしてみてください。
「既存公団(UR団地)の断熱性能を知ってほしい-冬版-〜松戸の家7(UR団地リノベーションの家1) Project Vol.03〜」
フリアーシステムズは1978年に創業し、他に先駆けて空撮用赤外線技術を開発。 赤外線技術はあらゆるヒト、モノ、物質が発する赤外線エネルギー(熱)を検知することができ、 赤外線カメラを利用すれば、暗闇や悪天候でも、スモッグが発生していても、可視化することができます。
まずは団地の断熱性能を可視化する
去年の夏、とっても暑かったですよね。ふと、既存の団地の断熱性能が気になり、FLIR(フリアーシステムズ)を使って可視化してきました。
この日の松戸市の最高気温は31℃、最低気温26℃。
撮影した時間は13時頃。
こちらはリノベーションする団地の玄関の写真。この団地は階段の踊り場に玄関があるタイプなので、玄関は日陰ですが、内部から見ると、一番低い温度で24.7℃、玄関扉はスチールで熱を伝えやすいからか26.4℃
こちらは南側の部屋の窓。窓が赤くなっていてその周囲は青くなっているため一見窓以外の場所は涼しそうに感じるかもしれませんが、最も温度が高いのは35.1℃で、一番低い温度は31.2℃。この日の最高気温とほぼ同じで、この壁の熱が輻射熱として内部に伝わってきます。
こちらも南側の部屋の窓。ここの最も高い温度は36.2℃で、一番低い温度は32.1℃。窓の枠に日差しが当たり、とても熱くなっています。
では内部の壁はどうでしょう。上の写真の壁は、先ほどの南側の窓の壁と繋がっている壁で、写真右側が南側の窓。そのため、ここの最も高い温度は33.8℃で、一番低い温度は32.0℃。その一番低い温度でも壁の中心辺りなので、そこまで熱が伝わっているということです。
それでは北側の壁はどうでしょうか。ここの北側の窓でも最も高い温度は35.8℃で、一番低い温度は31.8℃でした。窓の枠は外部の温度で熱をおび、その熱を内部に放出しているということです。何もしなければほぼ外と同じ気温。内部は日陰のため涼しく感じますが、それでもこの温度というわけです。
古い建物の断熱性
既存の団地はこのような状況です。何もしていない部屋はこのように外部の熱がコンクリートを温め、その熱が内部に伝わってきている状況。このコンクリートに蓄熱された熱は夜になっても急には冷めないため、夜になっても蒸し暑い時間が続きます。それならばエアコンで涼しくすればいいじゃないかということになりますが、囲まれている壁の温度が高いため、エアコンの効き目がよくありません。つまり電気代がかかるということです。夏日は続き、その夏日にエアコンをずっとつけるとなると電気代がかかります。ランニングコストがかかるということです。これはボディーブローのように効いてくるので、電気代、地球のことを考えるとリノベーションの時に断熱性能を高めれば、お財布にも体にも地球にも優しい空間が作れます。
「床の下地工事〜江戸川の家1(ノームコアな家) Project Vol.03〜」
こちらは、以前集合住宅をリノベーションした時の断熱材の状況です。
せっかくなので、この冬の状況も計測してきたいと考えています。
この記事を書きながら思ったこと
この記事を書きながら思ったことは、リノベーションされたマンションやアパート、リノベーションに限らず、新築の建売住宅などで内覧をして購入される方はいると思います。その内覧の時にはリノベーションされて綺麗にされた内装や目新しいキッチンやお風呂などに騙されないようにしてください。また夏や冬なら内覧をする前からつけられたエアコンにも騙されないようにしてください。夏や冬だったらエアコンをつけていない状況で見せてもらうことも必要かもしれません。
断熱材性能は見えない部分のため、判断しづらい部分です。
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