内部の仕上げが始まった現場
千葉県松戸市で進んでいる新築住宅の現場で、内部の仕上げ作業が始まりました。
設計期間中は自然塗料を考えていたのですが、進めていく中で今回はペンキにすることにしました。
今回は白い天井と壁を基調としたデザインのため、窓や扉などの建具の納まりに非常に苦労しました。
標準的な建具の納まりは、建具の周りに枠を作るので建具が強調されます。
しかし、今回はその枠を作らないため、白い壁がずっと続くようなデザインになっており、ずっと続く壁を仕上げることはとっても大変です。
なぜなら、一度に全ての壁を仕上げることはできませんし、ペンキによる塗装は光の入り方で塗り分け部分が目立つため、
白い綺麗な一体の天井や壁を作ることはとっても難しいんです。
スチールで作る手摺
松戸の家4(FLAT HOUSE)では、平屋を夢見ていた建て主だったんですけど、キッチンダイニングからリビングまで収納をほぼ設けないスッキリした空間を希望していたので、
どうしても収納量が足りないのと、設計期間中に赤ちゃんを授かったので、子供部屋と収納が現実味をおび、平家は諦めることにしました。
しかし、平家っぽく見せるために、1階より低い高さに収納部屋を作り、さらに収納部屋の天井高さを極力抑え、その上のに子供部屋を作ることにしました。
そうすることで、通常の2階よりも低い位置に2階の床を作ることができます。
それが、上の写真ですね。
その2階に上がる階段には手すりを設けたのですが、この手すりはスチールで作ったオリジナルの手すりです。
ただ、手すりをスチールで作ると冷たいので、今回は手が触れる部分(笠木)には、ナラの無垢材をスチールにかぶせるようにしました。
手に触れる部分はできる限り、肌触りがいい木で作りたいと考えています。
ウエスタンレッドシダー(米杉)で作った目隠し塀
道路側には窓が2つ付くのですが、その窓を隠すために板張りの目隠し塀をデザインしました。
単に板を張るのではなく、斜めに板を張ることで、光が入り風が抜けるようにデザインしました。
当初は熱処理をした板材を考えていたのですが、持井工務店さんから、
「工場にウエスタンレッドシダー(米杉)があるので、ウエスタンレッドシダー(米杉)にしませんか?」
と提案があり、ウエスタンレッドシダー(米杉)にすることにしました。
作り手側から、「こうしたら良くなる」という提案があるのは、本当に嬉しいことです。
図面通りに作ればそれでいいはずなんですけど、作り手が自分たちの作品だという高い意識があるから、自ずと提案があるんだと思います。
ウエスタンレッドシダー(米杉)についてはこちら↓
目隠し塀に使うウエスタンレッドシダー(米杉)の特徴〜松戸の家4(FLAT HOUSE) Project Vol.30〜
今回タッグを組んだ工務店、株式会社 持井工務店。
松戸の家4(FLAT HOUSE)で一緒に仕事をさせていただいているのは、千葉県船橋市に会社を構える「株式会社持井工務店」さんです。
会社の設立は昭和43年ですが、創業は大正13年と老舗の工務店。
見積をお願いする前に工場を見学させていただきましたが、木に対する思いを感じ、さらに自社で大工を抱え職人の育成もされている工務店。
自社設計施工をしながら、設計事務所とも多く仕事をされているので、経験・知識・引き出しが豊富な工務店で、
現場が進むにつれ、細かい納まりの打ち合わせをすることが多くなってきてからは、図面では表現仕切れない部分などを先回りして質疑をあげてくれますし、
現場監督の方は、現場管理という立場と自らも設計者という視点から多くのことに目配りとこだわりを持って監督をしていただけているので、非常に助かっています!
工事金額の見積の時には相見積を要望する方が多いですが、私は見積と職人技術は比例すると考えているので、
「見積金額だけでは判断できませんよ」と伝えるようにしています。