5年ぶりの石巻
ようやく、また石巻を訪れることができた。
2011年の東日本大地震が起きた時に「何かしなければ!」と思ったけど、その時は一級建築士試験や働いていた事務所の住宅プロジェクトを任されていたのでボランティアとして石巻に行くことはできなかった。
「今、自分には何ができる?」と悶々としていた時に松戸市が自転車を被災地に送るということをしていたので、自分の自転車を送ることにした。
その1台の自転車を受け取った宮城県石巻市北上町十三浜の漁師さんからお礼の手紙が届き、そこから石巻に通うことになった。
2014年02月22日〜23日
「石巻を訪れるきっかけとなった自転車と手紙」
2014年には「行ける時に石巻に行こう!」と決め、半年だけだけど毎月のように石巻に通っていた。
そこで多くの人と出会い、今回石巻に訪れたのもそのとき知り合ったみくちゃんとずっと繋がっていたから。
今回の石巻の目的は、みくちゃんが関わっている地ビール「巻風エール」をOne Tableで出したく、そのホップの産地などを見に行くために行ってきました。
初日の3月14日は、午前中、東京で打ち合わせがあったため、石巻に20時に着くように午後、新幹線で向かいました。
石巻に到着するのは夜になってしまうため、みくちゃんが石巻の名店、「四季彩食 いまむら」さんを予約しておいてくれたので、美味しいご飯とお酒を楽しんできました!
2014年の時にも食べに訪れたいまむらさん。
改装をしていて、さらにデザイン性の高い内装になっていた。
自論ですが、おしゃれなレストランやカフェは、間違いない。
内装にお金をかけても、腕に自信があるため、回収できる。という自負があるのだと思う。
料理は本当に美味しくて、「ミシュランガイド宮城2017特別版」にも掲載されています。
使っている食器にもこだわりがあり、地元の作家さんの食器などこだわりのある食器を使われています。
この信念は、2014年に訪れた時と変わらず。
今回いまむらさんに訪ねた理由は、もう1つ。
弊社の近所のレストランで働いていた友人、ほっしーがいまむらさんでお世話になっているからです!
ほっしーが長野のゲストハウスでいまむらのオーナー、今村さんと知り合い、そのきっかけで今村さんのところで働くようになったとのこと。
面白い縁ですね。
いまむらさんはこだわった料理を提供しているので、ここでの修行はほっしーにとって掛け替えのない経験になるはず。
ただ、ほっしーは石巻に地縁があるわけではないので、気持ちが耐えれるか心配。
頑張れ、ほっしー!
イシノマキ・ファーム
みくちゃんが関わるイシノマキ・ファームは北上町にあり、翌日はまずは日和山からスタート。
震災以降、市内には災害危険区域が指定され、指定された場所(多くは海側)では、住宅、アパート、ホテル、民宿、児童福祉施設、医療施設などの居住の用に供する建築物の建築ができません。居住の用に供さない建物(倉庫、作業小屋、事務所、店舗など)は、建築することができます。
上の写真手前には復興住宅が建っており、5年前の光景とは変わっていました。
震災前の街側の風景。
午後に北上町に連れて行ってもらうので、午前中はまだ訪れたことがない女川町に連れて行ってもらいました。
その途中で見た、海と石巻を分断する土手。
かさ上げ工事をすると聞いていたけど、実際に近くで見ると想像していた以上に高い。
石巻市から女川町に行く間に、ダンプカーを結構見かけ、あれから8年経過しているけど復興はまだまだなんだなと感じた。
女川町に到着。
女川町の駅は、プリツカー賞を受賞した坂茂さんが設計した駅で、女川町から海まで軸線を通した復興計画が特徴。
軸線が通った通りには、テナント型商店街「シーパルピア女川」があり、ミニスーパーや小売店、女川の味を堪能できる飲食店など、日用品・工房・飲食エリアから構成された商店街となっており、海側には女川の鮮魚や水産加工品を中心とした特産品の販売や、旬の魚介類やスイーツが楽しめる飲食店などが並ぶ地元市場 「ハマテラス」があります。
うみねこの羽ばたく姿がコンセプト。
女川駅の2階のテラスからの眺望は、その先の海まで続く軸線が明快で、抜けていて景色がよかったです。
みくちゃんのボス、イシノマキ・ファームの代表、高橋さんが石巻市内にいるということで、一度市内に戻り、高橋さんと3人でお昼を食べながら、お話を聞かせてもらいました。
そのあと、北上町にあるイシノマ・ファームに向かいました。
イシノマキ・ファームは、「農を通して地域、社会、そして自然とつながる」をコンセプトに活動をしています。
農業を通じて多様な人びとの「はたらく」をサポートし、雇用の創出と共生できる社会の一歩として、「ソーシャルファーム(Social Firm)」を理念とした活動を行ってまいります。
引用:一般社団法人イシノマキ・ファーム
北上町にある休耕地を活用してホップの栽培に成功し、宮城県石巻産のホップを75%以上使ったクラフトビール、巻風エールを作っています。
なるべく自然にちかいかたちで、なるべく手作業で、てまひまかけて栽培されるホップ。北上町で作られたホップを使うことで雇用が生まれる仕組みを作っていることが素晴らしい。
そして、そのホップ畑の近くには、ビール神社と呼ばれる鹿嶋神社があります。
ビール神社の由来は、その昔、飢饉があった年に米が不作で日本酒をお供えすることができなかったため、何とか収穫できた麦で造ったお酒をお供えしたそうです。
米が豊作となった年に日本酒に戻すと悪い病気が蔓延したらしく、そこから日本酒ではなく麦酒、そして現在はビールをお供えするようになったのが由来だそうです。
次に案内してもらったのは、イシノマキ・ファームが運営する宿、AOYA。
その途中でみた北上川の風景。
AOYAは、築約120年の古民家をリノベーションして作られたゲストハウスで、ここに滞在しながら農業を体験することができます。
AOYAには、これから石巻と繋がりが続く巻風エールがありました。
すでにOne Tableでは、巻風エールの提供を始めています!
One Tableは曜日毎に店主が変わるため、巻風エールが必ず飲めるのは土曜日となっていますが、多くの人に巻風エールを知ってもらえたらと思っています。
さっばりした飲み口の巻風エールは、女性の方は飲みやすいと思います。
土曜スタッフと飲んでも、高評価の巻風エール!!
One Tableという場所
震災が起きた年に働いていた事務所で、仮設住宅の提案を事務所の中でやっていました。
震災後、東京を中心とした多くの設計事務所が仮設住宅の提案をしていたそうです。その時に違和感を感じました。
プレハブのような仮設住宅に住むよりは、居心地がよく生活がしやすい仮設住宅の方が身体的ストレスは少ないでしょう。
しかし、その仮設住宅の提案がデザインにこだわりすぎているのではないかと思ったんです。デザインにこだわることは大切だけど、普遍的な形で、普遍的なディテールで、早く仮設住宅を提供する方が大切なのではないか。
それから色々考え、建築だけの関わり方だと被災地とは一時しか関わらないが、食であれば継続して取引ができ、持続的な関係が築けるのではないだろうか。
そんなことを考えて、食を紹介できる場、持続的な関係が築ける場、人が集まる場を作りたいと考え、One Tableを始めました。
そのことがようやく実現できた。
ずっと被災地と持続的な繋がりができないかと考えていたので、「巻風エール」により石巻と繋がれたことがとっても嬉しい!
石巻を訪れる理由
2014年02月22日〜23日
「石巻を訪れるきっかけとなった自転車と手紙」
2014年03月11日
「震災から3年目の3月11日の石巻市」
2014年04月18日〜19日
「Architecture for Humanityという団体」
2014年05月17日〜18日
「震災後の子供の心」
2014年06月13日〜14日
「宮城県石巻市を散策」
2014年07月31日〜08月01日
「第91回石巻川開き祭り」