建物本体の雰囲気を残すリノベーション
千葉県我孫子市で進んでいる集合住宅の1室をリノベーションするプロジェクトでは、解体工事が終わり、下地工事が進んでいます。
下地の壁が作られることで、新たな空間のイメージがより鮮明になってきました。
マンションなどの集合住宅だと、玄関に入るとそこは狭い玄関があるのが普通だと思います。
でもできれば、新築住宅と同じように広い玄関があったら、お客さんを迎えたり見送る時に、玄関が人溜まりに
ならなくていいなと思っているので、できる限り広い玄関を創れるように設計しており、
奥が見通せたり、奥から光が入ることで明るい玄関になることで、玄関が広く明るくなり、気持ちい玄関がデザインできると考えています。
玄関から見えるリビングダイニン。
リビングダイニングは南向きなので、日差しが入り明るいリビングダイニングとなりますが、その明るさが廊下まで溢れてくるので、
玄関に入ってすぐの空間が薄暗くならないようにしました。
上の写真はキッチンからの眺め。
キッチンは元々リビングダイニングの隣の部屋にあり、キッチンなどの水回りを動かすと費用がかかるのため、今回はキッチンを移動させず、
壁で囲まれた狭く薄暗いキッチンだったので、廊下とキッチンの壁を壊し、広く、明るく、風が抜けるキッチンを考えました。
石膏ボードが張られ始めた現場
我孫子の家1(路地裏のある家)は、4階建ての集合住宅の最上階なんですけど、天井に断熱材が入っていませんでした。
既存図面を確認してみると、屋上にも断熱材が入っていなかったので、夏に見にきた時はとっても暑かった。
そのため、今回のリノベーションでは、断熱性能を上げることを優先的に考え、天井に断熱材を追加し、
メインの部屋となるリビングダイニングと主寝室の窓ガラスが1枚の単板ガラスだったので、ペアガラスに変更するようにしました。
クロスを剥がし、躯体表しにした壁
既存の部屋は、天井や壁、さらには床の下地を造らず、※躯体の上に天井の塗装、壁のクロス、床のフローリングを仕上げていました。
※躯体とは、建築では建物本体のことを言います。木造であれば木の梁や柱、コンクリート造ではコンクリートの天井や梁、壁、床などをさします。
そこで、建て主と話しながら、どんなことに興味があり、どのような家具のタイプが好きかなどを聞きながら
内装のイメージを詰めていたところ、無骨なインダストリアルなイメージが好きなんだなとわかり、
それならばあえて仕上げをせず、極力建物の本来の表情の仕上げにした方がいいんじゃないかと考えました。
壁のクロスを剥がしてもらい、現れたのがモルタルを塗られた壁です。
できれば、打ち放しコンクリートのようなすっぴん美人のような壁が出てきてくれたら嬉しかったんですけど、
予想通りクロスを張るために塗られたモルタル、ファンデーションを塗った女性が顔を表しました。
でも、これはこれで私はいいなと思います。
均一な打放しコンクリートのようなすっぴん美人の表情ではなく、職人による手仕事が見て感じられるモルタルの壁には表情が豊かで、
雰囲気がありますから。
今回共に仕事をする工務店は、株式会社助川工務店
我孫子の家1(路地裏のある家)で一緒に仕事をさせていただくのは、千葉県柏市に会社を構える「株式会社助川工務店」さんです。
株式会社助川工務店さんは、明治二十年(1887年)創業の老舗の工務店で、助川工務店さんとの仕事は、今回で3件目。
初めての仕事は、千葉県松戸市の「松戸の家3(ゲルのある家)」の新築住宅。
2件目は、こちらも千葉県松戸市で設計をさせていただいた診療所のリノベーションプロジェクト、「松戸の診療所(無垢な診療所)」です。
木、木造に精通していて、寺社仏閣を手掛ける技術がある職人さんをかかえており、現場の管理などもしっかりしているので、安心して仕事をお願いができる工務店さんです。
独立してまもない設計事務所が、創業100年を超える工務店と仕事を一緒にさせてもらっており、巡り合わせに感謝する今日この頃。