設計業務以外の長期優良住宅などの申請業務
新築住宅のプロジェクトが進んでいる愛知県名古屋市では、ここ最近のプロジェクトでは申請業務がもっともありました。
確認申請、これはほとんどの建築プロジェクトではしなければいけない業務なので当然の業務です。
ちなみに、確認申請とは、建築基準法6条、6条の2に基づく申請行為ですが、建物の用途(住宅なのか、共同住宅なのか、美術館なのか)によって条文が変わります。
今回の名古屋市で新築を建てる地区では、この確認申請以外に、
・建築確認申請による調書
・風致地区内建築内建築等許可申請
・緑化率適合証明等通知書
・長期優良住宅建築等計画に係る技術的審査
を申請しました。
建築確認申請による調書とは
この申請は、「宅地造成等規制法」に関する申請で土地を切土や盛土をするかしないかなどをチェックする申請です。
切土の場合は、2mを超える切戸を行うか。
盛土の場合は、1mを超えて盛土を行うか。
切土と盛土を同時にする場合は、盛土の部分に高さが1m以下の崖が生じ、かつ切土と盛土をした部分に高さが2mを超える崖ができる場合。
と文字で書くとよくわかりませんが、土を掘ったり盛ったりするには、申請が必要になり、行政機関から許可をもらわなければいけません。
この申請をすると時間を要し、工事費がかかるので、このプロジェクトでは大々的な土の切土や盛土はしないように計画しました。
風致地区内建築内建築等許可申請とは
風致地区とは、都市計画で定める地域地区の一つで、都市における良好な自然的景観を維持するため、特に必要とされる地区を指定しています。
この地区内では一定の行為が制限されますが、市民の協力により良好な居住環境が維持されています。
名古屋市では、東部丘陵地を中心に約3,000ヘクタールの区域を指定しており、自然的環境を保全し、緑の豊かな低層住宅地を形成することを目指しています。
この風致地区で定められている制限とは、
緑化率(敷地面積に対する緑地面積)が30%以上、
保存緑地(現況木竹面積が500㎡以上ある場所に制限)が20%以上、
建ぺい率が30%〜40%以下、
建物の高さが10m以下、
道路境界から建物外壁までの距離が2m以上、
隣地境界から建物外壁までの距離が1m〜1.5m以上、
切土・盛土の高さが5m以下、
擁壁・塀などの工作物の高さが5m以下、
塔などの工作物の高さが15m以下
とあります。
今回の計画は、建物の配置を敷地境界線と平行に配置せず斜めに配置しているため、基本設計の段階で自分の首を締めることとなり、申請を提出する時にもさらに苦しい思いをしました(苦笑)
この風致地区の申請は大変だったのですが、この規制があるため計画地の周辺は各家に植栽があり、市が目指している良好な居住環境が保たれてます。
これから人口が減ることがわかっている市(松戸市もしかり)では、この風致地区を指定してもいいと思っています。
というのは、どうしても外構にかける費用は減額案の時に外構に費用をかけれなくなってしまうので、これからの計画には規制があった方がいいのではないかと思っています。
ポートランドの様に。
いつか、ポートランドには行きたいですね!
行かないと。
緑化率適合証明等通知書とは
これは、前述の風致地区の緑化率と重複する部分があります。
都市の緑は、ヒートアイランド対策や自然とのふれあいの場となるなど、良好な生活環境を保つ上で欠かせない市民共有の財産ですが、近年、名古屋市の緑は減少し続けており、特に市域の約2/3を占める民有地の緑の減少が顕著です。
そこで、平成17年度に「緑のまちづくり条例」が施行され、本条例では「市民等との協働」「緑の保全」「緑の創出」を3つの柱とし、さらに緑の保全と創出を市・市民・事業者の責務としているんです。
そこで、名古屋市では平成20年10月31日に、市・市民・事業者の全てが協働して緑を創出する重要な施作として、「緑化地域制度」を導入しました。
この制度は、一定規模以上の敷地を有する建築物の新築や増築を行う場合に、定められた割合以上の緑化を義務付ける規制です。
なるほど、これはいい制度だと思います。
しかし、今回の敷地の緑化率は20%以上だったんですね。
ただ、前述した風致地区の申請は緑化率が30%以上だったので、緑化率適合証明は風致地区の認可を見せれば済む話だと思うんですけど、そこはちゃんと指定された様式で別に申請しないといけなかったんです。
う〜ん、と思いましたね。
長期優良住宅建築等計画に係る技術的審査とは
最後の長期優良住宅建築等計画に係る技術的審査とは、長期優良住宅を建てるにあたり、長期優良住宅の仕様に適合しているかを審査してもらうものです。
これは市の強制ではなく、一定規模以上の住宅であれば長期優良住宅を建てることができます。
それでは、長期優良住宅とは?
長期優良住宅とは
長期優良住宅とは、長く住み継ぐ住宅を建てることを目指して2009年から認定事業が開始され、長期優良住宅の認定基準は、2000年に創設された住宅性能表示制度に準拠しています。
長期優良住宅では、住宅性能表示制度のうち、
・劣化対策(等級3)
・耐震性(等級2以上)
・維持管理対策(等級3)
・省エネルギー対策(断熱等性能等級4)
の4項目が認定基準になっています。
長期優良住宅の認定基準は、耐震性以外は基準の中で最高等級になっており、かなりハードルが高い基準です。
しかし、日本の各地で7年ごとに「数百年に一度起こる大地震」に見舞われ、住宅の耐震性が最重要視されるとともに、地球温暖化に対処すべき省エネ性能にも関心が集まっていることもあり、「長期優良住宅基準」というのは一般的になっていると思います。
この「長期優良住宅」という言葉を知らなくても、「耐震性」「省エネルギー性」には関心があると思います。
ちょっと長くなったので、次のBlogで建築基準法や耐震性、省エネルギー性についてもう少し書きたいと思っています。
今回の家づくりのパートナーは株式会社ザイソウハウス
株式会社ザイソウハウスさんについては、下記の記事で紹介していますのでこちらをどうぞ。
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