下川町の取り組み
「建築」は、「木」がとっても身近な職業だ。
身近な職業だけど、「木」を材料と捉えるか、「木」を「木」捉えるかでは、大きな違いがあると思う。
建築を始めたこところは「木」を梁や柱、フローリングなどの材料として捉えていなかったが、建築に携わることが長くなってきた中で、私は後者の「木を木と捉える」考えにようになった。
山の環境に興味を持ち、間伐材に興味を持ち、地域の一次産業に興味を持ち始め、やっと下川町を訪れることができました。
下川町のことを綴ったこれまでの記事はこちらです。
ASAHIKAWA DESIGN WEEK 2018 3日目その1 ~下川町SDGsの取組みのSDGsとは?~
ASAHIKAWA DESIGN WEEK 2018 3日目その2 ~下川町SDGsの取組みを支える森~
そして「その3」は、木の活用の現場です。
下川町のゼロエミッションの木材加工の現場
SDGsの取り組みを支える森をみた後は、森で取れた木を活用するための現場を見学させてもらいました。
森林組合では、間伐材を有効に活用するため「※ゼロエミッションの木材加工」を進めており、下川森林組合施設の木炭小径木加工関連工場を見学。
※ゼロエミッションとは、様々なリサイクルシステムを構築し、廃棄物をゼロにする活動。
ゼロエミッション活動のきっかけは、1981年(昭和56年)10月、葉を落とす前のカラマツに湿った重たい雪が積もり、折れたり曲がったりする湿雪災害が起き、多くの倒木が発生し、処理に困ったそうです。
当時の木材市況はどん底で、建築材もパルプ材も非常に安値でした。しかし、せっかく育てた木を倒れたままただ腐らせていくことに、「ここまで育ててきたものを何とか活用しなければならない」という強い思いから、木材加工に着手し、円柱や集成材、木炭への加工を始めました。
ところが、カラマツに原料にした木炭づくりは例がなく、商品としてなるまでに大変な労力と時間を必要としました。しかし、火つきが早く短時間で使い切ることができる特徴を生かし、バーベキュー用の網や着火剤等とセットにするなど販売方法を工夫し、ホームセンターに販路を見出し軌道に乗せることができました。
木炭加工を機に、炭焼きの煙の冷却によってできる木酢液の商品化や、木酢液を木材に含浸させて煙で蒸すことで天然の防腐処理を施した燻煙防腐処理材、オガコやカンナクズを粉炭にした融雪剤や土壌改良剤など、商品ラインナップを増やし、応じて雇用も増やしているとのこと。
粉炭をどのように融雪剤として使っているかというと、炭の黒さが太陽集熱してそれで雪を溶かしやすくするそうです。素材自体が化学系のものではないため、畑やゴルフ場にまいても安全。
木にも、環境にもいいモノを作っていることに、感動しました!
小径木を製材して、木杭などの土木関連の資材を作り、そこから出るオガコなどで融雪剤や土壌改良剤などを作っています。
人が入ると、木の太さや伐採されている量の多さがわかりますね。
木炭を焼いた時の煙を冷やすと木酢液がで、その木酢液に製材を漬けると防腐効果を高めた建材ができます。
これは天然の防腐効果なので、これも環境に優しい商品となります。
工場には、これから製材されるのを待っている伐採された木がたくさん積まれていました。
この光景を見るだけでも、森と共に生活しているんだなと、伝わると思います。
この加工工場で一番見たかったのがFUPUNOMORIが作っている商品です。
トドマツなどのの枝葉を集め、蒸留して香り成分を抽出し、エッセンシャルオイルやルームスプレーなどを商品化しています。
FUPUNOMORIが作るNALUQのデザイン性の高さに驚き、リーフレットがとってもオシャレなんです!
エッセンシャルオイルだけでも興味を惹かれますが、このデザインで興味から手に取る行為となり、購買と繋がるんだと実感しました。
インテリアにしても可愛いし、商品自体も素晴らしく、私はエッセンシャルオイルとアロマキャンドルを購入しました。