日本の山(林業)に関心を持ったのはいつ頃か
日本の山に興味・関心を持つようになったのはいつ頃だろうか。
サーフィンを初めて、環境に持ち始めた頃なのか。
それとも下積み時代に見つけた間伐材フローリングがきっかけなのか。
それとも、2007年にヨーロッパを旅して、スイスの山、フィンランドの森を見てからか。
2007年にヨーロッパ建築行脚(Grand Tour2007)の日記
それとも、2011年に経験した東日本大震災から学んだ、日本の社会問題を知ったことがきっかけか。
東日本大震災を通して知る被災地のこと・日本のこと
いやその前には日本の山のことを知っていたから、建築に関わり始めてからだと思う
今の恵まれた環境をどう維持するのか
日本は森林率が67%と国土の2/3が森林という恵まれた世界有数の森林大国です。
林野庁がだいたい5年ごとに「森林面積の推移」というものを公表しており、
昭和41年(1966年)で天然林で1,551万ha、人工林が793万haあり、
それから約40年後の
平成19年(2007年)では天然林で1,551万ha、人工林が793万haと森林面積は約2,300万haを推移している。
森林面積が維持されていることは素晴らしいことだと思うが、それよりも重要なのは森林蓄積面積だと思っている。
森林の蓄積量は、
昭和41年(1966年)で天然林(天然林や人工林以外を含む)で1,329万㎥、人工林が558万㎥で、
それから約40年後の
平成19年(2007年)では天然林で1,780万㎥、人工林が2,651万㎥と推移している。つまり、天然林は約40年間で1.3倍だが、人工林は4.7倍と成長しており、全てではないですが建築の材料として使えるほどの太さ・大きさに成長しています。
この「成長」が重要で、木が育つ上で光合成が大切で、その光合成によって二酸化炭素(CO2)を吸収し酸素を放出しており、木はCO2を吸収しCO2を木質・木材という炭素化合物にして樹体内に固定しているのです。
そのため、木の循環が大切なんですね。
日本の林業の歴史
日本の木造建築の起源はどこにあるのかなと考えた時に、大規模木造建築で古いのは邪馬台国の出雲大社が頭に浮かびました。
戦国時代、それ以前から寺社仏閣で木造建築は建てられており、生活の中でも木はずっと身近のものでした。
日本の林業を調べていると、衝撃的な写真を見つけました。
これは愛知県春日井市廻間町神屋洞の風景で、江戸幕藩体制下の尾張藩林制度が解体し、林野利用統制が緩んで明治初期から中期にかけての濫伐によるはげ山の時代となり、その後、第二次大戦直後の困窮・復興時代という二回の「破壊」の時代を経て、再生されてきた状況と考えられます。
しかし、日本には資源としての木材が多量に存在しているのですが、様々な理由によって日本では林業という産業が経済行為として成立しにくくなっています。そのため、山の手入れが行き届かず、放置されたまま荒れている森林が増える一方となっています。
林業が産業として成り立っていない理由の1つとして、国産材の自給率が低下してきたことがあると思います。日本が経済大国となり強い「円」のおかげで、日本はコストパフォーマンスが高い(値段の割には性能が高い、あるいは性能の割には値段が安い)外国産の木材を世界中から自由に輸入することができ、外国産の木材を構造や内装で採用していたと思います。
しかし現在では世界における木材資源の状況やマーケットが変化してきており、以前のように大きな価格差はなくなってきているそうです。
それでも国産材を採用すると、まだ外国産材より高い気がします。それは、日本の人件費や流通の問題なのかなと思っています。
そこで、政府によって2009年に策定されたのが「森林・林業再生プラン」で、10年後の木材自給率を木材需要全体の50%に引き上げることが明示され、2010年10月に施行されたのが「公共建築物等における木材の利用の促進に関する法律」です。
その効果もあるのか平成12年(2000年)から木材自給率は右肩上がりとなり、平成22年(2010年)には25%を超えてきました。
しかし、まだまだです。
これから人口が減っていく中で、どう木材自給率を上げて維持していくかが課題だと感じています。