うめ家石材店について

所在地 :千葉県松戸市
主要用途:店舗
構造  :木造 地上2階建
敷地面積:198.81m²
建築面積:134.67m²
延床面積:169.43m²
施工  :株式会社中野工務店
構造  :(株)マサ建築構造設計室
撮影  :小川重雄写真事務所

我々の事務所は千葉県松戸市の八柱にあるのですが、近くに大きな霊園、八柱霊園があります。その八柱霊園の入り口に通じる通りには石材店がたくさんあります。その通りにある石材屋さんの1つ、うめ家石材店さんから建て替えの相談をいただき始まりました。

うめ家石材店さんは、八柱霊園が開園した1935年(昭和10年)に開店した長い歴史をもつお店で、あと10年で創業100年の老舗企業となるお店です。創業時からリフォームを繰り返し、長い歴史をもつ企業だからこそ代々引き継がれてきたモノがあります。その引き継がれてきた思い出や記憶を引き継いで欲しいとい建主の想いがあり、我々がこれまでスクラップアンドビルドではなく、活かせるものは活かすという手法を用いてきたことに興味を持っていただけたことが依頼の理由とのことでした。

既存の建物の中で再活用したものは、建具、欄間、床柱、網代天井、階段の段板、桶の棚板、キッチンです。これらを解体する前に丁寧に取り外して、新たな建物に活かしました。欄間や建具などは同じように活用していますが、床柱だけはそのまま同じように活かすことが難しかったため、法要室の正面に作る飾り棚の落とし掛けとして活かしました。

うめ家石材店がある通りを何度も歩き感じたのは、歴史ある建物が多いということと、店舗ということからなのか道路ギリギリに圧迫感があるように立ち並んでいるなと感じました。そこで今回の敷地が角地ということもあり、2つの道路に対し圧迫感をなくしつつ、これから更に100年経ち続ける歴史ある建物としての趣きをもった建築にしたいと考え、屋根の形状、外壁の色など景観を考えながら設計をしました。長く建ち続ける建築として、耐震性と断熱性を優先し、断熱材は木繊維断熱材のシュタイコを採用しています。

八柱駅から八柱霊園に向かうと通りが少し曲がっておりその少し曲がった場所からうめ家さんが見えてくるのですが、夜だとその場所からうめ家さんの灯りが見えてきます。その光景が私はとても気に入っています。

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