住まい手と一緒に扉を再活用する
千葉県我孫子市の集合住宅の1室をフルリノベーションしているプロジェクト、「我孫子の家1(路地裏のある家)」では、もともとある素材を生かすことを試みています。
既存の建物のコンクリートの壁や、もともとこの住まいにあった建具を生かす試み。
構造のコンクリートの壁に張られていたクロスを剥がしてもらい、剥がれて露わになったコンクリートの壁はそのまま生かします。
また、上の写真の壁に立てかけてあるドアは、もともとこの住まいにあった開きドアで、このドアを再活用することにしました。
住まい手と工務店と一緒に扉の色を剥がす
私は、基本的にはスクラップアンドビルドをするよりは、使えるものは再利用したいと考えています。
そこで、もともとこの住まいにあった扉を解体の時に大切に残してもらい、最活用することにしました。
しかし、問題が1つ。
それは、新たにデザインするこの住まいと、もともとあった扉の雰囲気が合わないことです。
そこで、助川工務店の職人さんと一緒に、白く塗られた扉の色を住まい手と一緒に剥がすことにしました。
助川工務店さんの方でほとんど剥離をしてもらい、一部分だけ塗装を残してもらった部分を住まい手に剥離してもらうことに。
色の剥がしは、サンダーという工具や紙やすりどを使って剥離していきます。
扉にはガラスが8枚嵌め込まれていて、ガラスを固定している押縁を取ることができなかったので、細かい部分は職人さんが剥離してくれました。
ガラスが嵌め込まれた内側の部分は、助川工務店の営業・現場管理をする酒井さんが家具を作っていたこともあり、細かい作業が上手で、とっても助かりました!
ここまで付き合ってくれる工務店はなかなかないと思います。
私自身も物作りが好きでDIYやワークショップを開いたりしているので、こういった作業にはなんら抵抗はありませんが、工務店側とすると、手間がかかったり、工程にDIYを取り入れると工程が組みづらくなったりするので嫌がることが多いです。
しかし、今回担当してくれた酒井さんも物作りやDIYが好きなので、一緒になって動いてくれています。
色を剥がした扉には自然塗料のオイルで着色する予定ですが、出来上がりがとっても楽しみです!
ブリコラージュとは
ブリコラージュという手法を知ったのは、沖縄に行ったら必ず訪れるパン屋さん、宗像堂に通うになってからだ。
宗像堂は沖縄県の宜野湾市にあるパン屋さんで、自家製の天然酵母を使って自分たちで作った石窯で焼く、遠方からもファンが訪れる人気のパン屋さんです。
そのお店の雰囲気が好きで、宗像堂のみかさんに教えてもらったのがブリコラージュという手法でした。
宗像堂については、こちら
「TAMAGUSUKU COFFEE ROSTERSと宗像堂」
ブリコラージュ(Bricolage)とは、
「あり合わせの道具や材料で物を作ること。日曜大工。器用仕事。転じて、持ち合わせているもので、現状を切り抜けること。」とういう意味で、元来は「繕う」「ごまかす」を意味するフランス語の動詞"bricoler" に由来している。
英語でいうdo-it-yourselfにあたる。
ブリコラージュする職人を「ブリコルール」(bricoleur)といい、ブリコルールは既にある物を寄せ集めて物を作る人であり、創造性と機智が必要とされる職人仕事である。
そのため、do-it-yourself、つまりDIYは「(修理・組み立てなどを)自分でやる」「日曜大工の」という意味で、自分で作るということが主だが、ブリコラージュは、その場で手に入るものを寄せ集め、それらを部品として何が作れるか試行錯誤しながら、最終的に新しい物を作ることが大切なため、DIYより、ブリコラージュの方が、柔軟に対応できる知識と技術が問われる気がしています。