名古屋の現場で建て方
愛知県名古屋市で進んでいる新築住宅のプロジェクトは、プレカットの打合せが終わり、建て方が始まったので現場に行ってきました。
建て方とは、構造部材の組立て作業のことをいい、材寸や継手・仕口が加工された柱、梁材などの材料を、機械または人力により組み立て、建込みを行います。下げ振りや水平器で垂直を確認した後、仮筋交い固定していき、柱梁接合など、構造材の取り合い部を羽子板ボルトなどの金物で緊結します。
規模にもよりますが、建て方は1〜2日で完了し、主要な骨組みの立ち上げが終わった状態を上棟と言います。
玄関ポーチの跳ね出し部分。
玄関ポーチの上はバルコニーになっており、このバルコニーの跳ね出しは構造事務所とも納め方を検討し、プレカットの打ち合わせでも詰めてきた部分です。
ボリューム毎で変わる屋根の勾配
敷地が旗竿敷地ということと、建物が大きいということから、大きな固まったボリュームで設計せず、ボリューム毎に屋根の高さを変え、圧迫感を少しでも軽減できればと考えました。
イメージにあったのが昔の家の屋根で、昔の家の屋根は屋根が重なるようになっていませんか。そのイメージが顕著に残っていたのが広島県三原市の佐木島の町並みです。
昔の町並み、特に漁村の町並みが好きです。
漁業で生活を営む町は、海の近くに集まって住んでいるところが多いのと、屋根材は瓦、外壁は板張りが多いイメージがあります。この統一された素材で作られた住宅が集まっていると、風景を作り、懐かしさを感じます。
松戸市ではこういった昔ながらの建物はところどころに残っているだけで、地方に行くと点在しているため、集まって風景を残している場所が少なくなってきています。
しかし、漁村だと、ぎゅっと集まって住んでいるので風景を残していてくれているんですね。
今回の住宅では、4つの屋根のボリュームがあります。
上の写真はスタディ模型で、この時は3つのボリュームになっています。
上の写真の左から1つ目がリビングのボリューム、その手前が2つ目の客間のボリューム。
2つ目のボリュームの奥が3つ目のダイニングのボリューム、一番奥が4つ目の寝室のボリュームで、1つ目、2つ目+3つ目、4つ目のボリュームは、屋根勾配を変えています。
方形屋根の蕪束(かぶらづか)で広い空間を作る
方形屋根とは、平面が正方形(または八角形)の建物に採用され、四方から対角線上に梁が集まる屋根のことを言います。天井にピラミッド(四角錐)が乗っているイメージでしょうか。
「蕪束(かぶらづか)」は、日本建築辞彙によると、
「洋風寄せ棟小屋組で、隅合掌(すみがっしょう)が集まる場所の真束(しんづか)をいう。」とあり、蕪束は、「かぼちゃ束」とも言います。
この四方から集まる中央部の下に出っ張っているのが蕪束(かぶらづか)です。
この蕪束(かぶらづか)を介して四方から集まる隅木の圧縮力が釣り合っています。
単に上から落としている訳ではなく、ずれ防止のために隅木と蕪束(かぶらづか)をボルトで貫通させて緊結させています。
下から見た蕪束(かぶらづか)
この日は午後から雨が振るという予報だったので、建て方を進めながら雨の養生も進めてくれていました。
建て方の現場を見ると、木造の構造を隠れてしまうのがもったいないと感じています。
木造の美しさは構造にあると思うので、これからは構造美を追求した木造を設計していきたいと思っています。
この構造の美しさを見せることと、断熱性能を高めることを両立させるデザインがこれから追求していきたいと思います。
雨対策のシートを被せながら通り雨が降ってきてしまい、雨の中、ザイソウハウスの職人さんたちが自分たちのことを顧みず、雨に濡れながら建物の為に雨対策のシートを入念ねしてくれました。
その姿を見て、「いい建物ができるな」と実感できました。
構造事務所は「なわけんジム」の名和研二さんに依頼
このプロジェクトは3方が擁壁に囲まれていることと、木構造を表現したいなと思い、かつてから一緒に仕事をさせていただきたいと思っていた「なわけんジム」の名和さんに依頼しました。勝手ながら名和さんのイメージは擁壁に強く、構造が綺麗で、建築家のイメージを具現化してくれる構造家だと思っています。
長期優良住宅のため通常の構造よりは耐震性能が求められ、現在の空間だと120角の柱になるとのことでしたが、そうすると階段などが狭くなるため、できる限り105角で進めたいことをお伝えしたところ偏平の柱で対応していただいたり、基本設計から壁の量を大きく変更することなくこの空間を実現していただきました。
断熱材の関係で構造が見えなくなってしまうので構造家としては面白味がないプロジェクトかもしれませんが、次は断熱と構造美を両立したプロジェクトの時にまたお願いしたいと思っています。
今回の家づくりのパートナーは株式会社ザイソウハウス
株式会社ザイソウハウスさんについては、下記の記事で紹介していますのでこちらをどうぞ。
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